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入れ歯は悪者!? インプラントのデメリットと入れ歯が適したケース

みなさんは入れ歯について、どんなイメージを持っていますか?
おそらく、いいイメージを持っている方はほぼ、いないでしょう。

小さい頃に「歯を磨かないと入れ歯になっちゃうよ」というフレーズを何度も聞かされた経験がある方は多いと思います。これに加えて、入れ歯関連商品のテレビCMによる悪いイメージの刷り込み。入れ歯はそもそも悪者的な存在として、小さいころから継続的にインプットされるのです。
歯科医師さえも負のバイアスを持ってしまっている方もおり、入れ歯治療に対して必要以上にネガティブに捉えられている傾向にあるように思います。

しかし、入れ歯治療が適しているケースもあります。今回は、入れ歯と並行して検討されるインプラント治療のリスクをご紹介しつつ、入れ歯治療を見直してもらうきっかけとなる情報をご紹介します。

インプラントのメリットとデメリット

自分の歯を残す治療が困難な場合、治療の選択肢は入れ歯か、インプラントか、になります。入れ歯と比較した場合のインプラントのメリットとデメリットをいくつかあげてみます。

◆インプラントのメリット

自分の歯に近い咀嚼能力が得られます。それに比べて入れ歯は、それほど高い咀嚼能力は得られません。入れ歯は歯がなくても噛めるようになる、程度を目指した治療法です。そもそものゴールが違うのです。

◆インプラントのデメリット

メインテナンスが必要

インプラント治療をするとメインテナンスのための通院が必要となります。

現在は人生100年と言われる時代です。人々の健康寿命が延びたことでインプラント治療の需要は高まっており、成人から高齢者まで幅広い患者層がインプラント治療を受けています。またインプラント治療技術が向上し、今まで治療を受けられなかった基礎疾患を持っている方や骨がない方でもインプラント治療することができるようになりました。
その結果、歯の欠損が多く、入れ歯を利用していた高齢者の方がインプラント治療するケースが増加しています。

高齢になると、体調を崩して病院で寝たきりになってしまったり、介護が必要になって施設に入所することになってしまうリスクが高まります。そうなってしまうと、家族の近くに転居したり、施設への入居に伴って引っ越しすることになるかもしれません。そうなってしまった場合、インプラント治療してもらった歯科医院への通院は難しくなります。

インプラントの上部構造を外して清掃するなどのメインテナンスは歯科医院でないと、できません。もし本人が通院することができなければ、どうしたらいいのでしょう?

放置されたインプラントは口の中の凶器

口腔衛生状態が悪いとインプラント周囲炎になり、インプラントの撤去が必要になることがあります。
インプラント撤去は、出血が多い外科的処置です。全身の健康状態や服薬状態によっては、撤去が困難になる場合があります。
どんなに意識的にセルフケアを頑張っていても口腔状態が悪くなってしまうことがあります。例えば、視力や筋力の衰えによりセルフケアが不十分になる、認知機能の衰えによって習慣的な歯みがきができなくなる、などです。

こうした結果、インプラントは放置され、口腔内で凶器となってしまいます。インプラントの反対側の歯がなく、インプラント側だけ残ってしまった場合、反対側の顎にインプラントが突き刺さってしまいます。また食事のたびに唇や頬を噛んで傷つけてしまうこともあります。
他には、インプラント周囲炎が深くまで進行し、顎の骨を溶かしてしまうリスクもあります。

要介護者の強い口臭

要介護者のインプラントのトラブルの中で多いのが口臭の問題です。介護者がインプラントに関する知識を持っていないと適切な清掃ができません。
適切に清掃されていない状態で長期間放置されてしまうと、最悪の場合は口腔衛生状態の悪化により口腔内常在菌による誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)を起こし、死に至るケースもあります。

もちろん、介護が必要になってしまった場合、入れ歯であっても同様に様々な問題があります。しかし、入れ歯の場合はインプラントと違って歴史があり、トラブルへの対処方法はすでに蓄積され、確立されています。
今後、インプラントについてのトラブル対処方法も時間の経過とともに蓄積されていくと思われます。しかし今のところ、ナレッジが蓄積・浸透する以上に、インプラント治療を受けた高齢者・要介護者が増加しており、混乱が拡がっているようです。

部分入れ歯について

初めて入れ歯の治療を行う場合、ほとんんどの場合は部分入れ歯になります。

部分入れ歯の固定方法と見た目の問題

基本的に歯の欠損部分の近くの歯に金属製のバネをかけます。それを支持にして部分入れ歯を固定します。
部分入れ歯の大きな問題は見た目の問題です。例えば前歯に入れ歯のバネをかけると、他の人には入れ歯であることが一目瞭然で分かってしまいます。
保険診療では使用する材料に制約があり、見た目の考慮まではされていません。自費治療であれば使用する材料に制約がなく、良い材料や特殊な方法を使用して入れ歯を製作することができます。
部分入れ歯をいれる際は審美的な側面について、歯科医師としっかり相談することが望ましいです。

部分入れ歯を処置するタイミング

部分入れ歯による治療をする場合、適切な時期に入れ歯を入れることが肝要です。欠損部の歯ぐきの状態にもよりますが、歯を失ってからおおよそ1ヶ月ぐらいに入れ歯を入れることのがよいでしょう。
歯を抜いた/抜けてしまった場合、歯を支えていた骨に穴が空きます。骨が治癒する時間が必要なのです。通常は一週間ほどで歯ぐきに覆われてきますが、くぼみは1ヶ月ぐらい残ります。
腕などを骨折した場合は3〜6ヶ月ほどギブズをしますが入れ歯の場合、同じ時間を待っていたのでは、その間、食べ物が噛めず困ってしまいます。また歯を失っている期間が長いと隣の歯が歯がない方へ移動してきたり、上の歯が落ちてきたりと大きな変化が起きてきます。また、歯がない場所に舌や頬が入り込んで、入れ歯を入れた際に違和感を強く感じてしまいます。

例外的に前歯を欠損してしまった場合など、審美上、すぐに入れ歯を製作する場合もあります。この場合、歯ぐきがしっかりと治っていない状態ですので、製作した入れ歯が合わなくなるリスクがあります。いったん入れ歯を入れた後に、治癒が完了した状態に合わせて入れ歯を修理したり、新たに製作したりして対処します。

総入れ歯

 

総入れ歯は歯がすべてない状態ですので入れ歯を引っ掛ける場所がありません。そのため、入れ歯が動いてしまいます。最悪の場合は外れてしまい、うまく噛めないことがあります。
しかし適切な入れ歯形態により快適な入れ歯を製作することができます。そのためには、口の中の形を正確に再現することが一番重要です。型をとる枠は既製品ではなく、一人一人にあった枠で型を取ることによって精密な入れ歯を製作できます。

総入れ歯では特に機能的な面を重視して治療する必要があります。噛むことだけを考えるだけでは足りません。入れ歯の材料選びによって、味覚も変わりますし、使用できる期間(強度)も変わります。どのような治療プランがあるのか、しっかりと歯科医師と相談した上で治療を行うことが望ましいです。

 

終わりに

入れ歯の治療は患者さんによって千差万別で、ひとつとして同じ治療はありません。また入れ歯に対する心理面の配慮やケアが必要です。歯の形はある程度同じような形態をしていますが、歯の欠損の状態や顎の状態、入れ歯の使用歴、患者さんの年齢を考慮して入れ歯をできるだけ長く使用できる設計を考えなければいけません。
入れ歯を作ったが使用していないという話も聞きます。しっかりと咀嚼能力をもった適切な入れ歯の制作をすることもできます。健康寿命を延ばせるように、今一度マイナスイメージのバイアスを振り払って入れ歯治療を見直していただけると幸いです。

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